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生死に関わる1日



18:00までの仕事は急遽17:00までになった。職場から外に出たら、雪がさんさんと降っていた。風景はもうまるでシベリア。行ったこともないんだけれども。ざふざふと雪を踏みしめ、歩いて帰ろうとしたが、朝寝坊したせいで自転車で来ていたことを思い出した。置いて帰ればいいものをなぜか気がついたら、自転車置き場に来ていた。何を思ったか緩やかな坂道を自転車で下り始めた。顔に雪がごうごうと容赦なく吹き付ける。手は一瞬で感覚がなくなった。東京とはこんなに厳しい場所か。
いちばんいけないのはブレーキをかけること。もう坂道に身を任せた。坂道を下ると、人が多い高田馬場駅。高架になっているので少し休憩と思い、自転車を降りた。
早く暖かい家に帰ろうと、再び自転車を漕ぎ出そうとしたが、野宿者の方が目に入った。こんなに辛い日。一年の中でも生死に関わるほどの日。暖かい飲み物でも差し入れようと、コンビニに入り、暖かい飲み物コーナーに向かった。缶コーヒーを触ってもほんのりと暖かい程度。今入れたばかりなのかと思い、向かいのコンビニに入った。しかし、同じように暖かくない缶コーヒー。暖かい飲み物がないなんて。手が冷たすぎて、ぎんぎんと痛かった。そのせいで温かさを感じられなかったよう。これは意味がないと思い、ドンキに向かった。カゴに4つほどカイロを入れた。貼るカイロと貼らないカイロ二つずつ。暖かいと感じられない缶コーヒーも一応買って、野宿者の元に戻った。その方はオレンジの蛍光色のダウンを着ていた。とても元気そうな方だった。近くには台車に乗せた荷物を置いていた。
「すみません、もしよろしければ、こちらどーぞ」と話しかけた。「ありがとう。早速使わせてもらうよ」と元気な声で返してくれた。そこから世間話をした。とてもコミュニケーションが取りやすい方で、話している最中は笑顔であふれていた。

野宿者はどんどん高齢化していること。
野宿者はどんどん減っていること。
あまり、他の野宿者とはコミュニケーションを取らないこと。
缶を集めて、12000円くらいを稼いでいること。
毎日休まず働いていること。
たまにお酒を飲むこと。
幸せってあまり感じないこと。
生活保護は受けたくないこと。
友達には生活保護を受けてる人もいるということ。
高田馬場にはもう10年以上前から暮らしていること。
居酒屋が多いから缶が集めやすいこと。
10年前までは日雇いの仕事に大勢の人が集まってきてたこと。
決まった時間に集めた缶を業者に売るということ。
そこには野宿者10人ほどが集まるということ。

途中で他の二人の野宿者とも少しコミュニケーションをとった。ひとりはカイロを受け取り、ひとりは無言でいらないという雰囲気を出した。

気が付いたら20:00をまわっていた。2時間半ほど喋っていた。
靴下がびちょびちょになって足の感覚がなく、温度はどんどん下がっていたよう。がくがくと震えていた。

喋ってる間に何人かの友達が目の前を通った。「Hola 」と友達に話しかけた。少しびっくりしたようにこちらをみて、「変な人に話しかけられたかと思った。むぎちゃんじゃん」と。
「この人は友達なんだ」とその野宿者に紹介した。あまり、野宿者にはいいイメージがないようだった。

「今日はどうするんですか?」と最後に聞くと、今日はここで寝るかな、とのことだった。一緒に寝ようとも思ったが、足がギンギンと痛む。今日はやめることにした。その野宿者に電話番号とGRACIAS と書いた紙を渡して、何か困ったときには連絡くださいとした。スマホを持っていない野宿者に、電話番号を渡してどうするんだとも思った。
「今度会うときには高田馬場を案内して!」と話しかけると、そんなのできないよーと言っていたが、少しならと承諾してくれた。
ーーーーーーーーーー
衣食住を担保したい、そう切実に思った。こんな寒いにも高架下で寝ることしか選択肢がないなんて。

PatagoniaのウインドブレイカーとかPeople TreeのTシャツとか欲しいと思うこともあるけど、十分自分は衣食住が担保されているし、なんかそこにお金を使うなら、野宿者の方と一緒に缶コーヒーで乾杯して語り合いたい。

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